建築環境305 of DOKOAED-4(リフォーム建築環境)

305 石井記念 やまばと保育園

所在地:宮崎県児湯郡高鍋町大字上江7676-2 (℡0983-23-6480)
用 途 :保育園
構造・規模:木造2階建て、敷地面積2747.1㎡、延床面積530.8㎡、改築面積261.4㎡
設計チーム:構造-川崎 薫、設備-古田隆次・山崎洋一
施 工 :(有)甲斐工務店御中      撮影:長瀬秀文(*印写真)
竣 工 :2006年
特 徴 :この計画は、これまで高鍋西小学校の分校として使われてきた施設を保育室として再利用してきたが、老朽化が進んだことによる改築工事である。
改築に際して下記の要望が園から出された。
□発表会などで機能的に使えるステージを持つ保育室。
□皆と積極的にふれあえる事務室
□光と風のあふれる空間
□保育園の顔となる木造の施設造り
□のびのびと子供らが育つ安全な空間

これら要望を踏まえ、下記のことを考え計画した。
○ステージ利用の時に問題になるのが出演園児の動線処理だが、裏通路を確保することで両袖を自由に移動することができ、幅広い演出が可能となっている。さらに退出時には東側への外通路を設けることで行事進行がスムーズに運べるようにした。又、ステージの前と後には大戸を設け、安全に活動できるように、また各種展示発表会の展示壁となるよう計画している。
○配置上、保育室には直接の太陽光を取り入れるのは難しいが、西昇降口と便所に天窓を設けることで、暗転などを配慮しながらも保育室への自然採光を可能にしている。
○窓の効果的な配置により風の抜ける保育室造りを考えた。夏、これまでどおり、午睡の時間を除いてはエアコンを動かす必要はないと考えている。又、施設の中心の廊下部分には、シンボルとなるヤマバト風見を乗せた”光と風の塔”を設けた。園全体の空気は半円の煙突状の筒を駆け上り、塔の窓から抜けて行く。そして、塔のガラス屋根から射し込んだ光は、半円状の筒に寄り添いながら観察コーナーに優しく舞い降りる。園では南九大の岡本先生のご指導を受け、植物の栽培観察を試みられる計画である。
○方杖合掌構造により、普通のトラス構造では確保できない大きな木造保育空間を確保でき、ステージを使った大きな動きを伴う体育活動なども可能にしている。木材は身体に優しい杉を使い、ほとんどを諸塚村の天然葉枯らし乾燥材で調達できたのは幸いだった。又、南面の事務室部分は円錐状の空間にする事で園の顔となるような空間を創り出せたと考えている。この事務室の保母机からは240度見通しがきく。園児、保護者、保育士の皆さんが、いろいろな場面で楽しく意思を通じ合える”ふれあい空間 ”ができたのではないだろうか。
○子供達にのびのびと育ってもらいたいと願い、安全ガラスなどを使った見通しのきく広々感のある空間構成に心がけた。また、庇を深くすることで耐久性を確保しながら、安全で優しい木製建具使用を可能にしている(一部、雨当たりの強いところはアルミサッシ使用)。

305yamabato_01.jpg*全景
305yamabato_02.jpg*職員室
305yamabato_03.jpg*保育室 兼 ホール
305yamabato_06.jpg*玄関ホール
305yamabato_04.jpg保育室・ステージ
305yamabato_05.jpgステージを仕切る大戸
305yamabato_08.jpgステンドグラス:愛(児島草次郎作)
305yamabato_10_s.jpg配置図
305yamabato_09.jpgねこ足
305yamabato_11.jpg床の仕上げ
305yamabato_07.jpgやまばとの風見塔
kazami_2.JPGやまばと風見
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